食物繊維・1
食物繊維はカラダに吸収されません。
カラダの構成成分やエネルギー源にはならないモノなのです。
現在では、
「人の消化酵素で消化されない食事中の離消化成分の総体」
と定義されています。
食物繊維には、水に溶けない「不溶性食物繊維」と、水に溶ける「水溶性食物繊維」があります。
食物繊維には、次のような効用があります。
・消化管の働きを活発にする
・ブドウ糖の吸収速度をゆるやかにする(急な血糖値の上昇を防ぐ)
・便をやわらかくしてかさをふやす(お通じが良くなるので、便秘に良い)
・発がん性物質などの腸の中にある有害物質の排出を助ける
・腸の中の役に立つ菌を増やして、腸内の環境を整える
…などです。
ただし、食物繊維を過剰に摂りすぎてしまうと、下痢をひきおこしてしまうこともあります。
下痢になると、水分と一緒にミネラルがカラダの外に出て行ってしまうので、ミネラル不足になる恐れもあります。
さて、この食物繊維は、ダイエットをするうえで良いのでしょうか、悪いのでしょうか。
その答えは、「良い」です。
食物繊維は、ダイエットをする人の味方です!
まず、「便秘に良いから」ということがあげられます。
ダイエット中の方、特に女性の方は、便秘に悩んでいる方も少なくないはずです。
その悩みの種の便秘を改善してくれる働きがあります。
そして、「ブドウ糖の吸収速度をゆっくりにする」ということがあげられます。
これはダイエットをする方にとって非常に重要です!
炭水化物や糖分を食べた場合、カラダの中でブドウ糖になって、吸収されます。
吸収されたブドウ糖は、グルコース(血糖)となって血液に入っていきます。
つまり、血糖値が上がるのです。
ブドウ糖の吸収速度が速いと、ブドウ糖が血液中にどんどん送り込まれるので、血糖値が急上昇してしまうことになります。
血糖値が急上昇すると、血糖値を下げる働きをするインスリンが大量に分泌されます。
血糖値の急上昇で、血糖値がすごく高くなったのでは!…と、脳がびっくりしてインスリンを大量に分泌させるのです。
インスリンは本来、高くなった血糖値を下げるために、筋肉や肝臓の中にグルコース(血糖)を運び込む働きをします。
運ばれたグルコース(血糖)は、グリコーゲンとして溜め込まれます。
しかし、インスリンが大量に分泌された場合、グルコース(血糖)をてっとりばやく血液から追い出すために、糖を体脂肪にとして溜め込んでしまうのです!
しかも、グリコーゲンの貯蔵庫である筋肉や肝臓は、グリコーゲンを溜められる容量があります。
筋肉や肝臓がグリコーゲンでいっぱいになってしまうと、インスリンがグルコース(血糖)を運び込む行き先は、体脂肪しかなくなってしまうのです。
つまり、血糖値の急上昇は、大量のインスリンを分泌してしまい、大量に分泌されたインスリンは、糖を体脂肪として溜め込んでしまう、ということです。
しかも困ったことに、大量に分泌されたインスリンはグルコース(血糖)をどんどん体脂肪としておいやっていくので、血糖値が下がってしまいます。
血糖値が下がってしまうと、脳はカラダがエネルギー不足だと勘違いをしてしまい、「食欲を増す信号」を出します。
その結果、糖が体脂肪として溜め込まれているというのに食欲がどんどん湧いてくる、という悪循環におちいってしまうのです。
スナック菓子を少し食べたら、やめられなくなって、一袋全部食べきってしまった、という経験はありませんか?
そのときには、このようなことがカラダの中で起こっているのです。
しかし!
食物繊維は、ブドウ糖の吸収をゆっくりにしてくれるので、血糖値が急上昇するのを防いでくれる働きがあります。
血糖値が急上昇しなければ、インスリンも大量に分泌されることなく適度に分泌されます。
つまり結果的には、食物繊維を摂れば、糖が体脂肪として溜め込まれるのを防ぐことになるのです。
ですので、食事をするときには、食物繊維を摂ったほうがダイエットには(そして健康にも)良いということです。
できれば、食事の最初に食物繊維を摂ったほうがいいと思います。
お米を食べる前にサラダを食べる、という感じです。
余談ですが、インスリンの分泌をゆるやかにする食事方法として他に、
・ゆっくり食べる
・酢の物を食べる(レモン・酢をかけて食べるのも良い)
・炭水化物(糖分)を食べる場合は、タンパク質のものと一緒に食べる
…などがあります。