食物の熱発生・サーモジェネシス
サーモジェネシスという言葉をご存知でしょうか?
サーモジェネシスとは、以前はSDA効果と言われていたもので、
炭水化物・タンパク質・脂肪が、興味深い熱発生の増加を引き起こす、ということです。
この効果のことを、
セラミック効果(熱発生効果)と言います。
栄養素によって、セラミック効果に違いがあります。
脂肪が一番低く、高いのが炭水化物、一番高いのがタンパク質です。
セラミック効果 |
高い
↑
↓
低い |
●タンパク質 |
●炭水化物 |
●脂肪 |
たとえば、炭水化物のセラミック効果は12〜15%と言われています。
炭水化物を100kcal食べた場合、12〜15kcalはすぐに燃やされてしまうのです。
(この%は、個人差があります)
このような食物性のサーモジェネシスは、体脂肪の少ない人ほどよく働きます。
体についている脂肪が多いほど、体内で起こるサーモジェネシスの程度は少なくなります。
なぜかというと、体脂肪は絶縁体のように働き、熱をとらえるからです。
体脂肪は、ジャンバーや毛布のように体温を逃げにくくするのです。
体からより多くの熱が逃げれば、失った熱を埋め合わせるために、体内でより多くの熱を発生させるのです。
ですので、
食物からのセラミック効果は、太っている人ほど少なく、やせている人ほど多い、ということになるわけです。
このサーモジェネシスは、個人差もあるようです。
余談になりますが、おそらく、
「痩せの大食い」と呼ばれる人は、このサーモジェネシスがよく働くのでしょう。
食べても食べてもすぐに熱を発生させるので、太らないんでしょうね。
うらやましい…。(^^)
さて、このサーモジェネシスですが、工夫次第で増やすことができます。
<サーモジェネシスを増加させるには?>
1.適度なカロリー摂取量のダイエット
2.必要以上のカロリーを摂る
3.食事の回数を増やす
余分なカロリーはサーモジェネシスを増加させます。
特に、その余分なカロリーが炭水化物だった場合には、熱発生を高めます。
余分に炭水化物を食べることで、熱発生を高めることができますが、すぐに体脂肪として蓄積されます。
ですので、これはダイエットには意味ありませんね。(^^)
食べ過ぎるのならば、せめて、以下のような食べ物にしましょう。
・低脂肪高タンパクな食べ物
・複合炭水化物(単糖類ではなく多糖類)の食べ物
これらの食べ物は、サーモジェネシスを高めるので、普通の炭水化物や脂肪を食べたときよりかは太りにくいはずです。
でも、食べ過ぎると結局はカロリーオーバーで太ってしまうので、サーモジェネシスを高めてもあまり意味はありません。
食事の回数を増やすと、なぜサーモジェネシスがよく働くのでしょうか?
それは、食べる度にサーモジェネシスが起こるので、回数を増やしたほうが“お得”という理由からです。
4回、5回、6回…と、1日の食事回数を増やせば、食べた回数だけサーモジェネシスが起こります。
摂取カロリーが同じであるなら、食事回数を増やしたほうがダイエットには効果的なのです。
余談ですが、極端なカロリーカットでのダイエットを行った場合の話をします。
カロリーを普段の食事から1日につきマイナス1000kcal減らし、3日続けたとします。
体脂肪を燃やすのに、1gにつき約7kcal必要です。(食べる脂肪は1g9kcal)
1000×3÷7=428.571…
となり、3日間で428gもの脂肪が減ることになります。
筋肉も減ったりするとしても、3日間で400gもの脂肪が減ったりもするでしょうか?
実際にはそんなに減ったりはしません。
その理由は、
代謝の低下・体温の低下・食物性のサーモジェネシスの低下です。
反対に大食いをした場合はどうでしょうか。
普段の食事から1日につきプラス1000kcal増やし、3日続けたとします。
3日間で428gもの体脂肪が増えるでしょうか?
たしかに脂肪はつくでしょうが、そんなには増えたりはしません。
それは、サーモジェネシスの働きのおかげです。
特に、複合炭水化物や低脂肪高タンパク質の食事だと、なおさら増える体脂肪は少なくなるはずでです。